肝臓の病気の症状と診断

食欲不振、全身の倦怠感、黄疸、腹痛、むくみは肝臓の病気の初期症状かも

肝機能の低下で疲れやすくなる

肝臓の病気はいろいろありますが、進行しないと自覚症状が現れることは少ないことから、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。肝臓は再生能力が高いため、自然に治癒することもありますが、表面上は治ったように見えても、実は病気が進行していたということもあります。

では肝臓の病気になっても、本人は全く気がつかないかというとそうではありません。症状があっても、それは肝臓に特有の症状ではないため、一時的な体調不良や風邪などと思っている例が多いのです。肝臓に障害が起きた時にどのような症状が出るのかを知っておくことは、早期診断のきっかけとなります。

食欲不振、吐き気
どんな病気でも食欲は低下しますが、肝臓の病気では、食欲不振と吐き気が主な症状であることが多く、特に急性肝炎の初期では、まず食欲不振と吐き気がやってきます。人によっては食べ物の臭いだけで吐き気を催すこともあるくらいです。しかし、発病から数日経ち黄疸が出てくると、吐き気は治まり、食欲も回復してきます。慢性肝炎では、食欲不振や吐き気はそれほど酷くありません。

肝臓が病気になると、どうして食欲が低下したり、吐き気をもよおすのかは原因ははっきりとわかっていませんが、肝臓の代謝機能がおかされたことで、一種の中毒症状が起きると考えられています。また、慢性の肝疾患では胃炎や消化液の分泌障害が起きますので、それが原因のこともあります。

全身の倦怠感、疲れやすい
急性肝炎の主な症状としては、上記のように食欲不振や吐き気が現れますが、慢性肝炎や肝硬変では、他の症状に先駆けて全身の倦怠感や疲労感を訴える患者さんが多いです。慢性の肝疾患ではこれらに加えて、気分のイライラ、性欲減退などの症状が出ることもあります。

腹痛(右上腹部が痛む)
腹痛、特に腹部の右上の激痛は、胆石症を示唆する症状ですが、急性肝炎で、肝臓が急速に腫れるときは、痛みが酷いことがあります。痛みが強くなる原因は、肝臓を包んでいる被膜が、急に伸ばされているからです。また、急性肝萎縮という、短期間に大量の肝細胞が破壊される肝炎の時にも、激痛が現れます。

腹部の張った感じ
肝臓病では、お腹が張った感じがして、重苦しくなります。また、下痢が続いたと思うと、今度は便秘が長引くといった便通不整を繰り返します。

黄疸(皮膚や白目の部分が黄色に変色する)
肝臓病になると、血中のビリルビン(黄色の色素)が増えるため、皮膚や粘膜が黄色くなります。これが「黄疸」と呼ばれる状態です。ビリルビンは弾力線維を染めやすいので、弾力線維が多い白目(眼球結膜)、顔、前胸部などに早くから黄疸が現れる傾向にあります。

皮膚が痒くなる
黄疸は、ウイルス肝炎のように、肝臓が悪いために起こる「肝性黄疸」が最も多いですが、肝細胞には変化はあまりなく、胆管の異常で胆汁がうっ滞し、その結果として起こる黄疸もあります。これを「肝内胆汁うっ滞性黄疸」といいます。

肝内胆汁うっ滞性黄疸では、黄疸が現れる前に長い期間、全身のかゆみが現れます。黄疸の際にかゆみが起こる原因は、血中に胆汁酸が増えるためと考えられていた時期もありますが、本当の理由は解明されていません。

体に赤い斑点が現れる(クモ状血管腫)
肝硬変では、首、胸部、肩、前腕部など上半身の皮膚を中心に、赤い斑点が見られることがあります。斑点をよく見ると、小さく赤い隆起を中心に糸くずのような毛細血管が広がっています。この紅班は肝障害が進行するに比例して、数や大きさが増してきます。

腹水やむくみ(浮腫)が現れる
肝硬変では、尿量が減少して、下肢にむくみ(浮腫)がでることがあります。腹腔内に水が溜まった状態を「腹水」といい、腹水が無くてもくるぶしに浮腫が現れることもあります。複数の肝硬変が進行したことを示す重大な症状です。急に腹水がたまることはなく、徐々に溜まるために初期の段階では気づきにくいこともあります。