肝臓の病気の症状と診断

肝臓がんの多くはC型肝炎から肝硬変を経て発症します

肝硬変で肝機能が低下した状態

肝臓に発生するがんは「肝細胞がん」と「肝内胆管がん」に分けることができますが、その90%以上は肝細胞がんです。肝臓がんの大半は、ウイルス肝炎を経て発症します。ウイルス肝炎の有無を調べることで、がんのリスクが高いグループを特定できるという点が、他の臓器のがんにはない大きな特徴です。

肝臓がんの最大の原因はB型・C型肝炎ウイルスの感染です。肝炎ウイルスへの感染で必ず肝臓がんを発症するわけではありませんが、B型肝炎ウイルスに感染した人のがん発症率は、感染していない人に比べて100倍、C型肝炎ウイルスでは500倍も上昇するとされています。

B型肝炎ウイルス(HBV)は、成人で感染した場合は急性肝炎から慢性肝炎に移行することは少ないとされていますが、男性同性愛者に感染が増えているジェノアAタイプのウイルスは慢性化しやすいため注意が必要です。一般的に慢性化しやすいのは出生時の母子感染、幼少期の感染とされていますが、ワクチン接種で母子感染が予防できるようになった日本ではそのリスクはほとんどありません。

C型肝炎ウイルス(HCV)に感染すると、1〜4か月程度の潜伏期間の後、肝臓に炎症が起こり「急性肝炎」を発症します。自覚症状に乏しいため、感染に気が付かないまま、免疫によってウイルスが自然に排除される人もいますが、5〜100年以上の時間をかけて「慢性肝炎」と進行し、されに10年ほどの時間をかけて肝細胞の破壊が進み、「肝硬変」を発症することもあります。肝硬変の段階までくると、10年以内に肝臓がんを発症する確率が70%になります。

肝臓がんのほとんどの症状(食欲不振、全身の倦怠感、腹水、黄疸など)は、肝硬変で肝機能が著しく低下したために起こるものです。肝硬変が重症化すると、体内の有害物質(アンモニアなど)が解毒されないまま、血流で脳に運ばれて意識障害を起こす「肝性脳症」のリスクも出てきます。

肝臓がんは初期の症状がないため、早期発見には検査が重要です。採血による肝機能検査では、GOTとGPT(ASTとALT)をまず調べます。いずれも肝細胞に含まれる酵素で、肝細胞が破壊されると血液中に増えます。また、総コレステロールの 数値、血小板数、アルブミンの数値なども肝機能の悪化を知る指標となります。

上記の肝機能検査で異常が見られた場合は、HBVやHCVに感染しているかどうかを調べる、ウイルスマーカーの検査をします。肝炎ウイルスの感染が確認された場合は、腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-U)によって肝臓がんを発症していないかを調べます。ただし、がんが小さいと検出できなかったり、慢性肝炎や肝硬変などでも数値は腫瘍マーカーの上昇するため、画像診断との併用が大切です。

肝臓がんの画像診断としては、1cm程度の小さながんも発見できる腹部超音波検査、肝硬変で肝臓が委縮して変形が著しい場合など、超音波検査では発見が難しい場合は、CT検査を行います。肝臓内のしこりの良性・悪性の判定はMRI検査が有効です。確定診断は、超音波で観察しながら細い針を肝臓に刺して、肝細胞を採取し、顕微鏡で調べる肝生検が行われます。