肝臓の病気の症状と診断

アルコール性肝障害の種類と進行(脂肪肝→肝炎→肝線維症→肝硬変)

飲酒歴と血液検査で診断

体内に入ったアルコールは、アルコール代謝酵素の働きによって、肝臓で有害物質のアセトアルデヒド、酢酸へと代謝され、最終的には水と炭酸ガスになって排出されます。アセトアルデヒドは、頭痛や吐き気などの悪酔いを起こす有害物質として知られていますが、肝細胞を傷つけたりもします。したがって、「百薬の長」とも呼ばれるお酒も、飲みすぎると肝臓に大きな負担をかけることになります。

「アルコール性肝障害」とは、アルコールとその代謝産物であるアセトアルデヒドの毒性などにより発症する肝臓の病気の総称です。長期間のアルコールの大量飲酒が原因となり、肝臓が腫れて大きくなり、様々な肝障害が現れます。

アルコールが健康に及ぼす害が広く認識されるようになった欧米諸国では、アルコールの大量飲酒で肝硬変を発症する患者さんは大きく減少しました。逆に日本では、従来、アルコールによる肝障害は少ないとされていましたが、男女ともにアルコールの消費量が増えた80年代あたりから、徐々に増えてきています。

日本国内には、純アルコールで120g(=日本酒換算で5合)以上を毎日飲んでいる、いわゆる「大酒飲み」と言われる人が200万人以上もいるとされており、既にアルコール性肝障害を起こしているか、その予備軍となっています。アルコール性肝障害の患者さんは男性が多いのですが、女性は男性よりも少ない飲酒量、しかも短期間で肝硬変を起こすという報告もあります。

非特異的変化群
GOTとGPT(ASTとALT)、γ-GTPなどの肝機能の検査数値は高いものの、肝臓の組織に病変は確認されていない状態です。比較的軽症のため、禁酒をすれば健康な状態に戻すことができます。

アルコール性脂肪肝
中性脂肪が肝臓に過剰蓄積された状態が「肝硬変」です。採血で肝機能検査を調べると、GOTが軽度の上昇を示し、特にγ-GTPは高値を示す傾向にあります。自覚症状が少ないため、大量飲酒を続けて、アルコール性肝線維症や、アルコール性肝炎まで進行する恐れがあります。脂肪肝の状態でも、禁酒を続ければ1か月程度で肝臓はもとの状態に戻ります。

アルコール性肝炎
肝細胞が壊死して炎症が起こり、食欲不振や全身倦怠感などの症状に続いて、黄疸、吐き気、下痢、むくみ(浮腫)などが急激に発現します。日常的に多くのお酒を飲んでいる人が、短期間の間に大量飲酒をしたことがきっかけで発症するケースが多くなっています。肝炎の後は肝臓が線維化するため、何年も繰り返すと肝硬変に移行するリスクがあります。

アルコール性肝線維症
飲酒で肝細胞がダメージを受けると、修復するために、肝細胞の周辺や血管の周囲の線維化が進みます。線維化した部分は肝臓の役割を果たさないので、肝機能は低下していきます。また、肝細胞の炎症や壊死が起きていなくても、アルコールの作用で線維が増えることがあり、これが「アルコール性肝線維症」です。

アルコール性肝硬変
肝炎や感染症の後もアルコールの摂取を続けた結果、肝臓の線維化によって肝臓の組織が硬くなり、肝臓の血流が悪化して、肝機能が大きく低下した状態が「アルコール性肝硬変」です。

軽度の脂肪肝や肝線維症で進行が止まっているなら、禁酒のみでも肝機能検査の数値は大きく改善します。