肝臓の病気の症状と診断

自覚症状のないC型肝炎の診断に欠かせない血液検査

C型肝炎の大半の患者さんは自覚症状がないため、診断には血液検査が必須となります。血液検査は、白血球数やヘモグロビン、血小板数などを調べる「血液学的検査」と、肝機能検査を含めた「生化学的検査」に分けることができます。

採血でHCV抗体の有無を確認

生化学的検査の項目で重要となるのは、まずAST(GOT)とALT(GPT)です。いずれも肝臓の細胞のなかで働いている酵素の代表的な存在と言えます。肝臓の細胞がC型肝炎などで破壊されると、細胞の中の酵素が血液中に漏れ出てきます。ASTとALTの数値が高いということは、肝臓の細胞の破壊が進んでいることを示しています。

ASTとALTの基準値(正常値)は測定を行う施設によって若干異なりますが、40IU/L未満が正常範囲とされています。しかし、肝臓の細胞が破壊されるのはC型肝炎だけが原因ではなく、アルコールの過剰摂取、脂肪肝による肝細胞の障害などでも検査数値は上昇します。

急性肝炎になるとASTとALTの数値は1万IU/Lまで上昇することもありますが、慢性肝炎では1000IU/L異常に上昇することはほとんどありません。数値が高いほど、肝細胞の破壊が進んでいることを表しているので、慢性肝炎から肝硬変へ、さらに肝不全へと進行する速度は速くなります。しかし、血液検査の数値はさほど上昇が見られなくても、肝硬変に進行する患者さんもいるので画像診断や肝生検も含めて肝硬変の進行度を評価することが大切です。

一方、γ-GTPはAST、ALTとは検査数値が意味するところが少し異なります。γ-GTPの数値は肝臓で作られる胆汁が流れる胆管が、胆管がんや胆石などが原因で詰まると高くなります。また大きな特徴としてγ-GTPはアルコールによる肝障害に敏感に反応します。

普通の慢性肝炎ではγ-GTPの数値がASTとALPよりも上昇することはありませんが、アルコール性の肝障害や、胆管が詰まった時には、LAPやALPといった酵素も同時に高くなることが多く、腹部エコーでも胆管の拡張が映し出されるので区別は可能です。

また、肝臓で同時に合成されるものに、出血が起きた時に血液を固める、たんぱく質(凝固因子)があります。肝臓の機能が低下して、凝固因子が足りなくなると、血液は固まりにくくなります。血液の固まりやすさの指標には、プロトロンビン活性(PT)があります。正常な肝臓では、プロトロンビン活性の数値はほぼ100%になりますが、肝硬変になると徐々に低下し、40%以下では肝臓での合成能力がかなり低下している、ということになります。

さらに肝硬変が進行して体の不要なものを分解して除去する機能が低下すると、血液中のアンモニアが増加します。この数値が100%以上になると、血液中のアンモニアが脳に達して意識障害を引き起こす肝性脳症の症状がでてきます。

また、C型肝炎になると膠質反応(TTT、ZTT)の数値が異常に高値を示すことも特徴の一つです。膠質反応とは聞きなれない言葉ですが、血液にある種の試薬を加えた時に、血清が濁りやすいかを調べるもので、炎症があると高値を示します。例えば、体にC型肝炎ウイルスのような病原体が侵入した時に、免疫機能が反応して抗体をつくるので、血液中に抗体が増えた状態となり、膠質反応は高くなるのです。

C型肝炎を診断する際、血液学的検査の項目では白血球、ヘモグロビン、血小板の数値を診ることが大切です。白血球は肝硬変では低くなり、正常下限を下回ることもしばしばですが、基準値より少々低いくらいでは、あまり心配する必要はありません。

しかし、肝硬変が進行した患者さんでは、突発性細菌性腹膜炎といって、腸管内の細菌が腹腔内に移るという病気を起こす人もいます。肝硬変の患者さんは免疫力が低下していることが多いですが、白血球の数が少ないことが即、このような感染症へのリスクが高まるのではなくて、肝臓での毒物の除去機能の低下など、さまざまな要因も関係しているのです。

ヘモグロビンは貧血の重要な指標ですが、肝硬変になると、貧血気味になる人が多く見られます。また、慢性肝炎のインターフェロン以外の治療として瀉血療法(しゃけつ療法:血液を抜き取って、余分な鉄分を捨てる治療)を行う場合もありますが、この際にはヘモグロビンの数値が11g/dL以下になるように瀉血を行います。

最近のHCV(C型肝炎ウイルス)抗体検査は感度と特異性が高いので、他の疾患で陽性反応が出ることはほとんどありません。HCV抗体検査が陽性であれば、@C型肝炎ウイルスに現在感染している、もしくはA「」に感染していたが、現在は治癒しているかのどちらかを意味しています。多くの場合、現在も感染がある場合には高い数値を示し、過去の感染の場合には低い数値を示します。

C型肝炎の診断、経過観察には腹部エコー、CTなどの画像検査が重要

肝生検で確定診断

腹部エコー
患者さんの負担が少なく、場所を取らずに手軽に実施できることから、慢性C型肝炎や肝硬変の患者さんの経過観察に定期的に行われています。腹部エコーでは、肝臓の腫れ具合、肝臓の内部のきめ細かさ(肝臓の線維化が進むと粗くなる)、脾臓の腫れ具合、肝臓の脂肪の付き具合、肝臓がん、胆嚢内の腫瘍や結石、ポリープなどがわかります。

腹部エコーでは、慢性肝炎の進行の程度といった細かい変化の診断を付けるのは難しいですが、大まかな見当はつきます。腹部エコーの最大の長所は、検査の実施の手軽さと、患者さんの体を侵襲することなく腫瘍を発見できる点にあります。

肝臓の病気が進行するにつれて、肝臓がんを発症する確率は上昇し、肝硬変では年率6%程度の割合で発症するとされていますので、肝硬変が疑われる人は、必ず定期的に腹部エコーを含めた画像診断を受ける必要があります。

腹部CT
体の周囲を囲むようにX線を照射し、体の断面図を撮影する検査です。放射線の被曝と造影剤の影響を考慮する必要はありますが、肝臓がんの診断には非常に有用です。なかでも肝細胞がんは血流が多いため、造影剤を注射しながらCT撮影を行うと、微小ながんも発見することが可能です。

腹腔鏡検査、肝生検
腹部にガスを注入して空間をつくり、棒状の細いカメラを挿入して、肝臓を表面から観察する検査です。医師が直接肝臓の全体像を把握できる点で優れていますが、患者さんへの負担がやや大きいというデメリットもあります。

肝生検は、腹部エコーで肝臓を観察しながら、右の肋骨の間に針を刺して肝臓の組織を採取して、顕微鏡で観察する検査です。C型慢性肝炎では、肝臓全体が同じ進行をたどることが多いので、肝生検のみでほ確定診断がつくケースがほとんどです。